こんにちは。
小野晄子です。
易を使ってみたい!易占いができるようになりたい!というあなたへ。
今回は、易64卦の中の「水雷屯」(すいらいちゅん)という易について、なるべくわかりやすく解説します。
- 「水雷屯」の易にはどんな意味がある?
- 易占いで「水雷屯」が出た時にはどう読み解く?
- 易経にはどんなことが書いてある?
などについて知りたいという方は、下記お読みになってみてくださいね。
1分でわかる!水雷屯のメッセージ
1分でわかる水雷屯解説動画です。
まずはこちらの動画をご覧くださいね♪
水雷屯の易の形
水雷屯は、「すいらいちゅん」と読みます。
易の形は、下記のように表されます。
上の卦が「坎」、下の卦が「震」となります。
水雷屯の易の基本的な意味
水雷屯は、64卦ある易のうち3番目の卦となります。
1番最初の易が「乾為天」(けんいてん)、2番目の易が「坤為地」(こんいち)です。
陽の代表である「乾為天」と陰の代表である「坤為地」、この2つが交わって新しいものが生まれる、そんな様子を表したのが3番目の「水雷屯」です。
初めて何か新しいものが生まれる時には、苦しみが伴います。
水雷屯の易には、「産みの苦しみ」「難産の時」という基本的な意味があります。
水雷屯の易には、
「生まれそうで生まれない苦しみの時。苦しみに耐えて物事を進めるとき」
という意味があります。
「屯」の意味
「屯」という漢字は、「駐屯所」などの単語に使われますが、「とどまる」という意味を持っています。
「水雷屯」の易は、「とどまっている状態」を表す易でもあります。
水雷屯の易の形から意味を読み解く
水雷屯の易の形をもう一度見てみましょう。
上には「坎」(かん)、つまり「水」の気があります。
「坎」には苦しみ、悩み、という意味もあります。
そして下にあるのは「震」(しん)、つまり「雷」の気があります。
「震」には動く、という意味もあります。
本来、天に放出される雷の電気エネルギーが大地に留まっている状態を表している、という風にも取れますし、
動きたいのだけれど、上には悩みや苦しみがあってなかなか動けない・・
そんな状態を表しているとも言える易が「水雷屯」の形です。
また、上に存在している水は、氷や雪と見立てることもできます。
「震」は木性で、上に上に伸びようとする草木です。
新芽が上に上に伸びようとしているのだけれど、上には厚い氷があってなかなか芽を出すことができない・・
そんな状態を表している形とも言えますね。
水雷屯のメッセージ
占って水雷屯の易が出た時には、どんなメッセージを受け取れば良いでしょうか。
- 新しいことを始めるときには忍耐が必要です
- 最初は上手く行かない
- 伸び悩みがある
- 急いで進んではなりません
- しっかりと困難に耐えて着実に進めばやがて春が来ます
- 能力が高い実力者の力を借りましょう
水雷屯にはこのようなメッセージがあります。
水雷屯の易の本卦
「屯は、元いに亨る、貞しきに利ろし、往く攸あるに用うる勿れ。侯を建つるに利ろし」
(ちゅんはおおいにとおる、ただしきによろしゆく所あるにもちうるなかれ。こうをたつるによろし)
こちらの言葉は、いずれは大成するために今はじっと留まることが大事ですよ、ということを説いています。
そして物事の始まりの上手くいかない時、思い通りに行かない苦難の時は、「侯を建つるに利ろし」=有力者や実力がある人についていくことが大事ですよ、ということが説かれています。
水雷屯の6つのストーリー
それでは、水雷屯の中の6つのストーリーである、初爻から上爻までの易経の言葉と意味を見ていきましょう。
水雷屯 初爻
初九。磐垣す。貞に居るに利ろし。侯を建つるに利ろし。
(はんかんす。ていにおるに利あり。きみをたつるによろし)
「磐垣す」(はんかんす)、とは難しい言葉ですが、前に進みづらく、躊躇してしまう様子を表す言葉とされます。
または、「磐垣」は、重い石を表す言葉でもあります。
前に進みづらく、躊躇してしまうような時ですが、ゆったりと構えて軽率な動きをしないこと。
今は自分からむやみに動かず、しっかりと自分の基盤を強固にしましょう。
また目上の人を立てて、目上の人の指示に従いなさい。
という文章となります。
水雷屯 二爻
六二。屯如、邅如、馬に乗りて班如。冦するに匪ず。婚媾せんとす。女子貞にして字せず。十年にして乃ち字す。
(ちゅんじょたり。てんじょたり。馬に乗りてはんじょたり。あだするにあらず、こんこうせんとす。女子貞にしてじせず。十年にしてすなわちじす。)
屯如、(ちゅんじょ)とは、難しい様、邅如(てんじょ)とは、ゆきつ戻りつする様、
班如(はんじょ)は、バラバラになる様です。
馬に乗って行きつ戻りつし、ウロウロする様が書かれています。
「婚媾せんとす。女子貞にして字せず。十年にして乃ち字す。」
というのは、身近な人に求婚されたとしても結婚に応じず、10年経ってようやく本来結ばれるべき人と結ばれますよ。
という結婚のストーリーに例えられた文章です。
これはすなわち、今は苦しみの時で右往左往するような時だけれども、安易な解決策を求めるのではなく、目的を見失わないようにしなさい。
腹を括って長い時間をかけてやり遂げる決意を持てば、時間はかかっても達成することができますよ。
というメッセージとなります。
水雷屯 三爻
六三。鹿に即くに虞なし。唯林中に入る。君子幾んど舎るに如かず。往けば吝。
(しかにつくにぐなし。ただ林中に入る。君子ほとんどすつるにしかず。行けばりん。)
この文章は、鹿を追って林の中に入って行くけれど、追えば追うほどただ林の奥深くへ入り込んでしまう様子を表しています。
君子幾んど舎るに如かず=賢こい者であれば、踏みとどまります。ということ。
つまり、深追いしたり、利益を求めて猛進することはやめなさい、ということを言っています。
自分の力を過信せず、踏みとどまりましょう。というメッセージとなります。
水雷屯 四爻
乗馬班如たり。婚媾を求む。往けば吉。利あらざるなし。
(じょうばはんじょたり。こんこうをもとむ。ゆけば吉。りあらざるなし。)
こちらも二爻と同様、結婚に例えられているストーリーです。
馬に乗ってウロウロと右往左往していたら、求婚された。吉ですよ。
ということが書いていあります。
つまり、大変な時だけれど、助けてくれる人が現れますよ、というメッセージです。
自分より格下の人や目下の人との協力によって、良い方向に進むことができるでしょう。
水雷屯 五爻
其の膏を屯す。小貞は吉。大貞は凶。
(そのあぶらをちゅんす。しょうていは吉。だいていは凶。)
膏(あぶら)とは、ノウハウや資材、資源、情報、豊かさなどを表しています。
屯す(ちゅんす)とは、出し渋るとか、上手く回らない、循環しない、などの意味です。
「其の膏を屯す。」とは、ノウハウや情報、資源、資材などが全体に上手く行き渡らない様を表しています。
資源などが全体に行き渡っていない状態だから、小さなことであれば上手く行くけれど、大きなことや全体での動きを行おうとすると上手くいきませんよ、というメッセージとなります。
水雷屯 上爻
馬に乗りて班如たり。泣血漣如たり。
(馬に乗りてはんじょたり。きゅうけつれんじょたり。)
この文章は、馬に乗って右往左往、うろうろして血の涙を流す様を表しています。
血の涙を流しながら泣き叫ぶというなんとも哀れな姿を描いた易ですが、6つ目のストーリーですから、こんな苦しみも、もうちょっとの辛抱で終わりますよ、というメッセージも含まれています。
困難の極みの場面ですが、最終局面をなんとか乗り切れば、あとは苦しみから開放されますよ、というメッセージです。
水雷屯は四大難卦の1つ
水雷屯は、64ある易の卦のうち、「四大難卦」(よんだいなんけ)と言われる4つの易の1つ。
ちなみに四大難卦とは、
- 水雷屯(すいらいちゅん)
- 坎為水(かんいすい)
- 水山蹇(すいざんけん)
- 沢水困(たくすいこん)
という4つで、どれも運勢上、困難や悩み、厳しい状況などを表す易なんです。
水雷屯も、「産みの苦しみ」という困難を表す易ですが、最初の困難に耐えることでどんな苦しい状況もいずれは開けていくということを説いています。
ということで以上、今回は、64の易の卦の中の3番目の易、「水雷屯」(すいらいちゅん)という易について紹介しました!
易は易経の言葉が難しく感じられる方も多いと思いますが、映画のように1つ1つがストーリーにもなっていて、とても面白いです。
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